(公社)日本バレエ協会関西支部
2024-10-06

バレリーナである前に、すてきなレディでありますように! Vol.32

関西支部は次回芸術劇場に「ドン・キホーテ」を上演します。昨日無事選考会を終えました。今回はこの作品について。

「ドン・キホーテ」は1869年、モスクワ・ボリショイ劇場で初演されました。作者はマリウス・プティパ。4幕8場の作品として制作初演されました。キャラクターダンスからなるディヴェルティスマンとマイムがほぼ全体を占めていたそうな。
第1幕のゼギジリア、第3幕のファンダンゴなどスペイン舞踊がふんだんに取り入れられていますが、これは、プティパがスペインのマドリードの劇場との契約中、現地や巡業で訪れたアンダルシアなどでの経験が生かされていると伝えられています。
現在のような形式になったのはやはり、ボリショイ劇場。
同劇場から改定上演を移嘱されたアレクサンドル・ゴールスキーにより1900年に初演されました。

ゴールスキーは、セルバンテスの原作を検討し、登場人物に、役割を与え、必然性あるマイム、テクニックを重視して作り上げたと言われています。
ゴールスキーは、ペテルブルグ生まれ、バレエ学校時代にはプティパにかわいがられ、卒業後はマリインスキー劇場バレエ団のコール・ド・バレエとして踊り、次第に頭角を現し、主役を踊るも、キャラクテールを得意としました。

マリインスキー劇場在職中に自分の作品に手を加えられたプティパの怒りは相当なものだったようですが、ゴールスキー版が世に出たことで、受け継がれていくことになります。
1966年ウィーン国立歌劇場に振付初演された、ルドルフ•ヌレエフ版、1978年ABT のバルシニコフ版などが世に出て、エスパーダなど、エキゾチズム、ドンキホーテが見る夢の場の、ファンタジックなシーン、そして3幕の超技巧テクニックを楽しめるパ・ド・ドゥなど、今や世界各地で上演される人気の作品となりました。

芸術劇場では山口章先生が振付を担当されます。
山口先生は「物語を大切にそれぞれのシーン、それぞれのキャラクターを粒立たせ、出演者それぞれの個性が活きる演出がしたいです。これまでの振付家達のアイデアも活かしつつ今回ならではの良いカタチで、観る側も演じる側も《とにかく”楽しい”ドンキ》になればと思っています。」と抱負を語られています。
ちなみに、関西支部の芸術劇場では、1997年、2003年、2013年と3度取り上げられています。

本番に向けて始動しました「ドン・キホーテ」ワクワクですね。

参考文献
薄井憲二 『バレエ千夜一夜』新書館
渡辺真弓 『名作バレエ70』世界文化社
鈴木晶  『バレエ誕生』 新書館

※『バレリーナである前に、すてきなレディでありますように』は
協会員、また、その生徒の皆様が、すてきな(女性)レディ、(男性)ジェントルマンと周りから認められるような振る舞いや情報を、様々な角度からご紹介するコーナーです。

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