(公社)日本バレエ協会関西支部
2023-02-01

芸術劇場開催のご報告


2023年1月28日(土)(公社)日本バレエ協会関西支部・関西バレエカンパニー公演
「眠れる森の美女」全幕が開催されました。
当日は大阪フェスティバルホール(座席数2700)がほぼ満席となる多数のお客さまにご来場いただき、主催者より心から感謝申し上げます。

当日午後からは、全幕ならではの美しい舞台装置の数々の前で、入念なリハーサルが行われました。
関西フィルハーモニー管弦楽団の演奏についても、指揮者冨田美里先生がこの時間に、繊細に踊りとの調整を行っていかれます。

そして18:00に開幕。チャイコフスキー作曲の名曲に乗せて、「眠れる森の美女」の物語が舞台に展開しました。音楽、装置、衣裳などすべてが一体となった総合芸術としてのバレエの魅力が開花する時間です。
この作品の制作に携わられた方々、出演された方々へのインタビュー記事をどうぞお読みください。

☆インタビュー特集
指揮者 冨田実里
(新国立劇場バレエ団指揮者)


Q:指揮者の方が、指揮棒を振られて最初のオーケストラの音が出た時に、お客さまも出演者もスタッフも「始まるぞ!」という本番モードにスイッチが入るように思います。その一振りは、指揮者側はどのような気持ちで その瞬間を迎えられるのでしょうか。

A:

(冨田氏 直筆)

もし本番中に何かのアクシデントが起こったとしても、指揮者は音楽を止めてはいけません。
主役が転ぼうが、地震が起きようが、幕が下りるまで指揮者は音楽を続けることが責務です(幕をおろす判断は舞台監督が決めます)。
つまり、予測していなかった何かが本番中に起きたとしても、音楽を続けることで人々が落ち着きを取り戻せることがあるのです。逆に言えば、音楽がなければ舞台はそこで終わってしまいます。
音楽とは、舞台に生きる全ての人々の「脈」のような存在だと私は思います。
そして、ダンサー、舞台スタッフ、オーケストラ、それらが一体となった舞台を観るお客様、劇場に集まった人々の呼吸を一つにまとめてくれるのも、音楽があってこそ成り立つものだと思います。
音楽が持つ強大な力を信じながら、私はいつも指揮台へのぼり振り始めます。

振付 田上世津子
(大阪バレエカンパニー所属)


Q:「眠れる森の美女」は芸術劇場でも何度か上演されています。今回のバージョンの特徴を教えてください。また今回振付にあたり、特に強く表現したいと思われたのはどのようなことですか。

A:第3幕の「親指小僧、その兄弟と人喰い鬼」は定番ではありますが、なかなか、やっているところがありません。これを加えることで3幕が一層楽しいものになるかなと。
全体としては少し長いのですが、たとえば最後のアポテオーズもあの長さがあった方が、物語の味が出てくると思いました。もともと「眠れる森の美女」全曲は大変長いもので、キーロフが全曲上演した際には5時間かかっています。
今年の振付の中で私が特に表現したい場面は、カラボスの退場シーンですね。キーロフ版では最後カラボスが戦うこともなく、すうっと退場してしまうのですが、そこをはっきりとさせたい。王子の愛の力によって、カラボスが倒れるというところを伝えたいんです。
カラボスが戦ったりするバージョンもありますが、それは見せずに、愛の力に負けるというところを見せたいと思います。カラボスはすごい悪人というわけではなく、「悪の妖精」であって、招かれなかったことに腹を立てているだけのことですから。また文献に当たった時に、ネズミが馬車を引っ張ってくるという記載もあったので、今回は手下をネズミにしました。王子がコウモリなどを追い払って、リラの精に「ぼくはどうしたらよいのですか」と聞く。リラは「あなたの愛の口づけで、彼女は目覚めます。」と言う。ここに力を込めました。芸術劇場で久々の大作の上演ですから、物語が伝わればと心から願っています。
オーケストラの練習にも立ち合わせてもらいましたが、指揮の冨田先生が各ヴァリエーションの振付の意味なども演奏者の方々に説明してくださり、そのたびに音色が変わることに驚きました。本番の演奏もとても楽しみにしています。

オーロラ姫 今井 沙耶
(法村友井バレエ団所属)

Q:今回、オーロラを踊るにあたってオーロラの役作りにこだわったところや心がけた事は?
A:全幕を通してオーロラ姫の成長がみえる様に表現しようと心がけました。
そしてオーロラ姫は足のポジションの正確さやバランスのコントロールを見せる振り付けが多く勿論大事ですが、動きだけに捉われすぎず、今回はとにかく上体を使って華やかに清らかにする事を心がけました。
お客様に、オーロラ姫の気持ちが少しでも伝わる様にと思って練習してきました。

Q:全幕を踊り終えた感想
A:温かいお客様、素晴らしい音楽、素晴らしい出演者の皆さまの空気が合わさって、
夢のような時間でした。
隣でサポートしてくださった王子の青木崇さんはじめ、本当に沢山の方々に支えていただき踊りきる事ができました。たくさんご指導くださった田上先生にも感謝の気持ちでいっぱいです。
全幕踊っている間、本当に幸せでした。

デジレ王子 青木 崇
(大阪バレエカンパニー所属)

Q: 「眠れる森の美女 全幕」に出演しての感想
A:眠りはアカデミックな作品なのでテクニックではなく王子らしさや丁寧に演じたいと思います。
パートナーの紗耶とは初めて組むので初めはどんな人かわからないけど組んで練習しているうちに二人の距離も近くなりだんだん良くなってきたので頑張ります。

Q:本番モードのスイッチはいつ入れますか?
A:スイッチは本番ぎりぎりまでは入れません、極力リラックスして気負わず本番に入りたいと思っているので。

リラの精 北 沙彩
(創美バレエスクール所属)

Q:リラの精を踊るに当たり、苦労したところは?
A:芯のある強さを演じるのに、すごく苦労しました。どのように動けば堂々と強いリラの精に見えるのか、自分なりに考えましたがそれを動きで表現するのが難しく、普段の私とは真逆で、とても苦労しました。

Q:どのようなリラの精を踊りたいですか。
A:優しさの中にも強さがあり、包容力のあるリラの精を演じたいです。

カラボス 佐々木 大
(佐々木美智子バレエ団所属)

Q:今回、普段あまり演じない役柄に対しての取り組み方や、心掛けたいことは?
A:まず全幕での普段あまり演じない役柄ができることが、とても楽しみ。
振付の田上先生との打ち合わせもあって、あまり老婆にならない実年齢的なところで役に落とし込めるように心がけつつ、ふとした瞬間に男に戻らないように(笑)役を演じ切ろうと思っています。

フロリナ王女 大塚アリス
(フリー)

Q:どのようなフロリナ王女を踊りたいですか。
A:フロリナ王女は、オーロラ姫の結婚式のお祝いの場面に招かれ、踊ります。もともとの「フロリナ王女と青い鳥」のお話の中では、塔の中に閉じ込められて泣いているフロリナ王女のもとに青い鳥の姿で王子が飛んでくるのですが、そのさえずりを聞きながら踊る振付になっています。このお話も、青い鳥が王子の姿に戻って最後には王女と結ばれる素敵なお話なので、優しく寛大なフロリナ王女を演じられるようがんばります。

青い鳥 佐々木 嶺
(佐々木美智子バレエ団所属)

Q:全幕の中で青い鳥を踊ることに対しての感想は?
A:全幕でまさか青い鳥という大役を踊らせていただけるとは思っていなかったので、緊張と不安もありますが、しっかりと役目を務められるように役柄を踊りきりたいです。

1幕 ワルツの女の子たち・男の子たち

~ 本番前 ~
Q:参加してどうですか?
A:・二回目の出演です。去年の反省を活かして踊りたいです。
・楽しんで演技なども上手に出来るように頑張ります。
・初めての参加です。大きい舞台に立つから、たくさんの人に楽しんで見てもらえるように踊りたいです。
・きらきら笑顔で踊りたい
・全力で楽しみます!
・とても楽しい!!
・組むところが難しい

~ 本番出演後、改めて感想を聞いてみました ~
Q:踊り終わった今の気持ちを教えて下さい
A:・楽しかった!!!
・終わってから「こうしたら良かったな」という所があった
・お客さんがたくさん見に来てくれて、とても嬉しかった!
・手と首の角度を揃えるのが難しかった
・背丈が違うから、歩幅を揃えるのが難しかった
・みんな初対面だったから、合わせるのが中々難しかったです。

最後に皆さん「来年も出演したい!」との事でした。


アンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございました。
今後ますますのご活躍を!

2024年 第50回バレエ芸術劇場
「白鳥の湖」全幕予定
演出・振付 山本隆之
2月17日(土)予定 於 大阪フェスティバルホール

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