バレリーナである前に素敵なレディーでありますように!Vol.28
周年事業など、記念すべき時に上演されるのが、「白鳥の湖」。
バレエの代名詞ともなっている作品ですが、どうも今年はこの作品の当たり年のようです。
関西支部でも第50回芸術劇場の演目として取り上げています。
チャイコフスキーの名曲、一度聴いたら耳から離れない音楽で観る人の心をつかんできた作品。
初演時の失敗、32回のフェッテを回った踊り子など、「白鳥の湖」にまつわるお話はいっぱいですが、ここでは世界のバレエ団が独自の「白鳥の湖」の制作に取り組んだ成果を取り上げてみます。
アレクサンドル・ゴルスキー版 ボリショイ・バレエ団1901年
コンスタンチン・セルゲーエフ版 キーロフ・バレエ団1950年
ウラジミール・ブルメイステル版 モスクワ音楽劇場バレエ団1953年
ジョン・クランコ版 シュツットガルト・バレエ団 1963年
ルドルフ・ヌレエフ版 ウィーン国立バレエ団 1964年パリ・オペラ座バレエ団 1984年
ユーリー・グリゴロビッチ版 ボリショイ・バレエ団1969年、2001年
ジョン・ノイマイヤー版 ハンブルグ・バレエ団1976年
アンソニー・ダウエル版 1987年英国ロイヤル・バレエ団
マシュー・ボーン版1995年アドベンチャーズ・イン・モーションピクチャーズ
グレアム・マーフィー版 オーストラリア・バレエ団2002年
ジャン=クリストフ・マイヨー版 モンテカルロ・バレエ団2011年
セルゲイ・ボブロフ版 クラスノヤルスク・バレエ団 2014年
アレクセイ・ラトマンスキー版 チューリッヒ・バレエ団/ミラノスカラ座バレエ団2016年
リアム・スカーレット版 英国ロイヤル・バレエ団 2018年
などなど。
筆者にとって、王子の心理にスポットを当てたルドルフ・ヌレエフ版、ババリア王ルートヴィヒの幻想としたノイマイヤー版、1987年原版に近づくようにとのアンソニー・ダウエル版、やさしい白鳥の群れを力強い雄の鳥の一群にしあげたマシュー・ボーン版を目にした時の、新鮮さ、衝撃の記憶は鮮烈です。
今後も、古典を温存しながらも、その時、その時に即した作品が世に出るのでしょう。
ちなみに 日本での全幕初演は終戦直後の昭和21年、上海から帰国したばかりの小牧正英を中心に、東勇作、貝谷八百子、服部・島田の各バレエ団から踊り手が集められ、帝劇での上演、これは22日間行われたとのこと。
関西支部は、記念すべき芸術劇場第50回に「白鳥の湖」山本隆之氏の演出振付初演に期待を寄せ、先人の尽力に感謝して、上演に取り組みます。
オーディションに振るってのご参加をお待ちしています。
筆者 小西 裕紀子
【参考文献】名作バレエ70鑑賞入門 (世界文化社)
バレエ千一夜 薄井憲ニ (新書館)
「バレリーナである前に素敵なレディーでありますように!」は、協会員、また、その生徒の皆様が、すてきな(女性)レディ、(男性)ジェントルマンと周りから認められるような振る舞いや情報を、様々な角度からご紹介するコーナーです。